〝グリーンモンスター〟が見守る新球場・モエレ沼の開幕戦は札幌平岡が勝利 後明主将「ちょっと威圧感」【春季札幌支部】

■春季全道高校野球札幌支部(5月12日、札幌モエレ沼公園ほか)
▽Cブロック1回戦 札幌平岡5-1札幌北陵
後明主将が逆転の適時二塁打
この春にリニューアルオープンした札幌・モエレ沼公園野球場で初めて行われた記念すべき開幕試合は、札幌平岡が5-1で札幌北陵に逆転勝利した。先制された直後の五回1死一、二塁から3番・後明来惟主将(3年)が、三塁線を破る逆転の2点二塁打。札幌平岡は九回にも追加点を奪って、道内高校野球史に新たな1ページを刻んだ。

最初に流れた校歌に感慨
モエレ沼に初めて流れた校歌は、創部38年目の札幌平岡ナインが斉唱した。1年ぶりの公式戦白星となり、浦島裕司監督(51)は「モエレ沼公園で高校野球の初めてで校歌が流れたので、すごい感慨深い」。決勝打を放った後明主将も「率直にうれしいっていう気持ちが一番強いんですけど、その中で自分もしっかり良いところで打てたのが特に思い出に残ることで、すごい良い試合だった」と声を弾ませた。
事前にネットで調べて施設の概要は把握していたものの、初めて足を踏み入れた新球場は全てが新鮮だった。球場入りしてからまずはロッカールームへ。後明主将は「今までの球場も立派ではあったんですけど、もうこの球場は特にきれいで、すごいテンションが上がりました」。

国内最大級のグラウンド面積 守備では特別な対策が必要
両翼は101.5メートル、中堅122メートルで国内最大級の面積を誇る。指揮官は「(球場が)広いのでポジショニングを間違えないようにと。特に相手の4番の選手は打つので、抜かれたらスリーベース、中継をミスしたらランニングホームランも出る可能性があるので、もう思いっきり下げて丁寧にいきなさい」と、プロ野球の本拠地より広いフィールドでの戦い方を指示した。
右翼スタンドの後方には、標高62.4メートルのグリーンモンスターがそびえ立つ。正式名称はモエレ山。彫刻家・イサム・ノグチが設計した公園内のシンボル的存在で、不燃ゴミと建設残土を積み上げて造成された巨大な人工物。試合中には中腹や頂上から、球場を見下ろす〝観客〟の姿もあった。

遠くのモエレ山より目の前の試合
後明主将も「モエレ山が、ちょっと威圧感というか、ちょっと怖いところもあったんですけど、伸び伸びプレーできた」。試合前こそ札幌円山や札幌麻生と違う光景に戸惑いながらも、始まってしまえば目の前の試合に集中。組み合わせが決まってから練ってきた相手の左腕エース対策の成果も勝負どころで発揮することができた。
想定外のことも
選手、指導者、審判、関係者全てが初めて。想定外のことも起きた。札幌円山や札幌麻生とは違い、最寄り駅から徒歩で向かうには遠く、公共交通機関を使うとすれば路線バスしかない。本来なら余裕を持って球場に着きたいところだが、路線バスは通勤・通学で混雑しているため浦島監督は貸し切りバスを頼むことにした。
ヒヤヒヤな指揮官を横目に…
開幕試合は午前9時プレーボール。逆算して午前7時30分到着を設定した。学校集合は午前6時50分。しかし、到着は5分ほどオーバーしてしまった。浦島監督は「結構、混んでて。やっぱり高速を使った方が良かったなってヒヤヒヤでしたね。次は高速を使った方が時間を読める」と肝を冷やした様子。一方、後明主将は「モエレ沼は初だったので、みんなできょうの試合の作戦だったり、対策だったり、いろいろ話しながら来られたので、すごい良い時間だった」と、逆に選手たちはその時間を有効利用した。
14日に行われる2回戦の相手は昨夏の南大会準優勝の立命館慶祥。勝つことができれば2019年の南北海道大会以来となる道大会出場も見えてくる。「(昨夏の南大会で)エスコンでプレーしてたり、すごい強いチームだと思うけど、自分たちの野球をして楽しくやれたら。その上で勝つことができれば一番」と後明主将。今度は、モエレ沼初の2勝目も狙いにいく。
