高校野球
2023/07/21 20:00

エスコンF初開催へ裏方も準備万端 【北北海道大会】

エスコンFで行われる北大会の準決勝、決勝の3試合で、球場アナウンスを担当する旭川東のマネジャー。左から3年生の佐藤花奈さんと北山環菜さん(撮影・西川薫)

22日に北北海道大会の準決勝

 夏の甲子園切符をかけた全国高校選手権南北北海道大会の準決勝と決勝が北広島市のエスコンフィールド北海道で初開催される。北大会準決勝前日の21日、試合進行に不可欠な裏方陣も最後の確認作業を行った。北大会3試合の場内アナウンスは旭川東の女子マネジャー7人が担当。また公式練習後に南北6試合を担当する審判員の講習会を実施。いよいよ北海道初となるドーム球場での高校野球公式戦のプレーボールのサイレンが鳴る。

第1試合の場内アナウンスは旭川東の北山環菜さん

 場内アナウンスを担当する旭川東の3年生2人も球児に負けない情熱をもって本番を迎える。記念すべき22日の準決勝第1試合を担当する北山環菜さん(3年)は「自分はかみやすい。ただでさえ上がるので、自信を持たないと失敗する。ミスに気づかれず、スムーズな試合を提供することで、いい試合をつくるお手伝いができれば」。球児の晴れ舞台に花を添える。

決勝戦は佐藤花奈さん「声に『ガンバレ』という思いを乗せて伝えたい」

 決勝戦を担当する佐藤花奈さん(3年)は「球場の迫力に圧倒されました。私も最後。メーンは試合に出る1人1人。1打席ごとがすごく大事。直接『ガンバレ』と言う訳にはいかないけど、声に『ガンバレ』という思いを乗せて伝えたい。1打席1打席、これが最後の打席なんだと思って大事に読みたい」と意気込む。

アナウンス室は球場4階(スタルヒンとは)目線が違う

 エスコンフィールドのアナウンス室は球場4階席。バックネット裏だった旭川スタルヒンと違い、フィールドから遠く離れていて肉眼での選手の視認は難しい。これまでは、すぐ近くのベンチ前で控え投手がキャチボールを始めたり、ネクストバッターズサークルに違う選手が入ると「交代がある」と準備をしていた。佐藤さんは「選手と同じ目線じゃないので、やってみないとわからないけど、新鮮」。勝手が違う環境に少し不安を抱えながらも、グラウンドの隅々に気を配りいつでもアナウンスできるよう細心の注意を怠らない。
 

エスコンFで行われる北大会の準決勝、決勝の3試合で、球場アナウンスを担当する旭川東のマネジャー7人


大会ルールは常に変貌 ぼろぼろのマニュアル

 関係者によると、旭川東の場内アナウンスは歴代道内トップクラス。2013年に旭川支部が甲子園球場のウグイス嬢を招いて講習会を行い、その時の資料を元に旭川東の佐藤俊行顧問(44)がマニュアル化。その後も、日本ハムの公式戦で場内アナウンスを担当する南谷彩佳さんを定期的に招き、旭川支部のマネジャーを対象に講習会を行ってきた。コロナ禍で中断していたが、昨年から復活。佐藤さんと北山さんも今年1月の講習に参加した。北山さんは「技術もそうですけど、アナウンスの心構えを教わった」。佐藤さんは「試合中はアナウンスが絶対に投球にかぶらないように注意している」。マニュアルはコロナ禍やタイブレークの導入など、常に更新。2人が昨年まで使っていた〝バイブル〟はびっしり書き込まれぼろぼろになっていた。

 アナウンスは1人では成り立たない。SBOのランプも仕事の一つで、常に隣にはサポートがつく。佐藤さんは「東高マネジャーのチームワークは一番」。5人の後輩の助けを受けながら最高の試合を演出する。

2時間以上念入りに行った審判講習会

 審判員の先生らにとっても初めての球場。講習会は2時間以上に渡った。北大会3試合を担当するのは10人。2015年の選抜甲子園に審判員として派遣された道高野連審判部の小倉貴彰総務副委員長(49、富良野)は「バックネット裏の懐の広さは甲子園みたい」と、新球場の第一印象を話してくれた。公式練習前にいったん閉じられた屋根が公式練習後に再オープン。青空が顔をのぞかせたが、大会中は公平性を期して開閉式の屋根は閉鎖して試合が行われる。
 

公式練習後に行われた、審判講習会


「ライトが挟まると打球が一瞬消える」

 小倉さんは講習会では三塁と球審に入り打球の行方を追った。旭川スタルヒンと比べ「広く感じますね。グラウンドはフラットで素晴らしい。天井は真っ暗だけならいいんですけど、ライトが挟まることで打球が一瞬消えることがある。よくボールを見ないといけない」。また、外野に設置された左右のポール、左中間フェンスの出っ張りなど非対称のデザインにも気を配り、正確なジャッジを下すよう心がける。

 道高野連によると、19日時点で入場券の販売枚数は、22日の北大会準決勝から25日の南大会決勝まで各日3500枚程度。当日券も販売を予定している。北海道の高校野球に新たに刻まれる歴史的一戦の目撃者になるには、まだ遅くはない。

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