ファイターズ
2021/10/22 15:16

≪岩本勉のガン流F論≫大海よ、タフな登板次への糧にせよ

 客観視するなら、打線がかみ合わず、伊藤はタフなマウンドばかり強いられている。一回から気力、体力とも十分で内容が良かった。決して責められない。
 失点は七回。1死二塁で、引退を表明している長谷川が打席に入り、内野ゴロでヘッドスライディングを見せた。球場が異様な空気になった。続く甲斐に対する3球目。エアポケットに入ったのか、スライダーが甘くなった。環境の変化が作用して生まれた一発だ。こうした経験は次のステップにいくための小さな納得の材料にしてもらいたい。
 打線は九回に追い付いた。2死一、二塁で杉谷が同点打。今季は何度か見られるが、スイッチヒッターの特性を捨て、右の森に対して右打席に立った。ベンチのニーズに合わせ、強振する手段を選択。プライドを捨てる勇気、現実と向き合う勇気が結果につながった。
 プロ野球選手は30歳を過ぎるころに、岐路がやってくる。そこで重要なのは、次の決断に踏み切れるかどうか。杉谷は今後、スイッチを継続するのか、分からないが、この一打で吹っ切れたはず。新たな可能性を示した。(本紙評論家)

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