伊江島で自主トレを公開　エース右腕の門出に笑顔

　日本ハムの松本剛外野手（３０）が１４日、自主トレを行っている沖縄・伊江島で、盟友への熱き思いを語った。ドラフト同期で学年も同じ上沢直之投手（２９）がレイズとマイナー契約を締結。「いや、良かったでしょ。良かった」と自らのことのように喜んだ。

吉報を待ちわびる日々　高卒同期でつくったグループＬＩＮＥ　

　南国の離島で、松本剛はソワソワしていた。ポスティングシステムでのメジャー移籍を目指していた上沢と、高卒同期の近藤健介（ソフトバンク）、石川慎吾（ロッテ）でつくったグループＬＩＮＥが稼働したのは昨年１２月中旬。「決まったらすぐ連絡を入れろよというのは、同級生のＬＩＮＥで言っていたから、それまでこっちからは何も聞かずに…。さすがに（ポスティングの交渉期限まで）あと１日、２日になった時は、あれって。ヤフーニュースを毎日見ていましたよ」と振り返る。

盟友の選択に感銘　「マジで尊敬する」

　公式発表前に届いた連絡。交渉期限ギリギリで上沢が選んだのは、若手の発掘や育成に定評があるレイズとのマイナー契約だった。

　「メジャーもあったんですよね？　マジで尊敬するというか、その言葉が正直に出てきた。応援したいなって思ったと同時に、もう一回、僕もすごくスイッチが入りました。アイツらしさ全開だなっていうのは思ったし、より一層、応援したいなという気持ちが強くなりましたし、僕も負けじと頑張ろうと思いました」。右腕の覚悟を感じる決断に、自然と活力がみなぎってきた。

活躍の場を移した高卒同期３人　寂しさとやる気と

　昨季は投打の柱として、共にチームを引っ張ってきた。ちょっぴり寂しさだってある。２０１２年に入団した高卒同期４人組は、石川が巨人からロッテ、近藤がソフトバンクに移籍し、チームで松本剛だけになった。「とうとう僕しか残っていない。なんかね。その寂しさはちょっと感じましたけど、まあでも、みんな頑張っているし、僕も負けないようにしたいなと思います」

今までも、これからも切磋琢磨

　苦楽を共にしてきた同期は、いくつになっても特別な存在だ。「僕ら同級生は、正解か分からないけれど、マジで練習していました」。１年目から１軍戦に出ていた近藤は試合後も練習に明け暮れ、１６年に巨人にトレード加入した石川はシーズンオフ、誰よりも真面目にジャイアンツ球場で汗を流していたと人づてに聞いた。

　「変わらずみんなやっているんだなというのを聞くと、やっぱり休んでいられないなとか、そういう感情にさせてくれる３人なので本当に感謝、感謝です」と切磋琢磨してきた。

昨年１１月には恒例の同期会　かけがえのない時間

　上沢が渡米する直前、１１月中旬には都内で毎年恒例の〝同期会〟が開かれた。

　「すごいメンバーですよね。本当に。本当に。マジで、マジですごいなと思います」。みんなで焼き鳥を食べながら、語り合った。

今季でプロ１３年目　今も忘れない入団時の誓い　

　４選手には、入団時に立てた目標があったという。「みんなで１軍にいられるようにしよう」。日本ハムでは、全員が揃って１軍でプレーする夢はかなわなかった。「僕はそれこそ一番（１軍で）出るのも遅かった。近藤が出て、上沢が出て、（石川）慎吾が出て。ずっと思っていましたからね。僕が行けば、４人で野球ができるなって。それが他球団を通しても、現実にもなったし。すごいことですよね」

　プロ１３年目のシーズンを迎え、それぞれがそれぞれの場所で輝きを放っている。