■Ｊ１第２８節　名古屋１－１札幌（９月２３日、愛知・豊田スタジアム）

名古屋の守護神ＧＫランゲラックに苦戦

　〝三度目の正直〟でＭＦ小林祐希（３１）がついに相手守護神の牙城を崩してみせた。前半からボールを保持して名古屋ゴールを脅かし続けた札幌だったが、その前に立ちはだかったのが相手の元オーストラリア代表ＧＫランゲラックだった。

ＦＷ小柏が１対１のシュートを阻まれ　小林は２度決定機で阻止される

　前半２５分にＦＷ小柏剛（２５）が１対１の場面で放った決定的なシュートを左手一本でコースを変えて防がれると、同３６分にはＦＷ菅大輝（２５）からのマイナスのパスに走り込んだ小林の強烈なミドルシュートを、今度は右手一本でスーパーセーブ。後半開始早々には小柏のマイナスのクロスに再び小林が走り込みシュートを放ったが、これもまた左手一本でブロックされてしまった。

前回対戦でもシュート１３本が１点どまりに

　５月の札幌ドームでの前回対戦でも再三の好セーブで、シュート１３本を放ちながらわずか１得点に封じ込められた相手守護神からゴールを奪えない時間が続くと、同５分にはカウンターからＦＷユンカーに、この試合の名古屋のファーストシュートでゴールを決められてしまう。試合前の時点でリーグ５位の２６失点という堅守を誇り、先制した１４試合では１０勝４分と負け無しの名古屋。そして最後の砦として立ちはだかるランゲラック。多くのチャンスをつくりながら、一本のカウンターに屈した前節・湘南戦の記憶が頭をよぎる中、そのモヤモヤを吹き飛ばしたのが小林の同点弾だった。

同点弾より外した２本　「決められないんだったら出ている価値は無い」

　同２１分、札幌は左サイドで細かくパスをつなぐと、菅からのクロスに反応した小林が右足を伸ばしてゴールマウスへと押し込み、ようやく試合を振り出しに戻すことができた。だが小林は貴重な同点弾の場面よりも、決めることができなかった２本のシュートシーンに触れ「あれを決めないで、たまたま１点取って良しじゃあ、これで終わりですね。あの２点を決められないんだったら（試合に）出ている価値は無いです」と、厳しい自己評価を下す。

勝利をつかむことの難しさ改めて実感

　名古屋の３本の倍以上となる計８本のシュートを放った札幌は、その後もチャンスをつくるが、ゴールネットを揺らせないまま試合は終了。優勝争いをしている相手から敵地で勝ち点１を得たという事実は一見ポジティブに捉えられそうだが、「（勝ち点）２を失いました。見ている人がどう思ったかは分からないけど、内容的には、やっているこっちからは、これで勝てないのかという感じでした。勝つことって大変だなというのを改めて感じました」と、勝利をつかみ取れなかったことへの悔しさを口にした小林。その悔しい気持ちを晴らすべく、次節ホーム柏戦でも札幌の攻撃のタクトを振るってみせる。